ココナツ: 「ね、ねぇ……お兄ちゃん……?」 ココナツ: 「……い、いいのかな?」 ココナツ: 「お兄ちゃんのこと、こんな独り占めしちゃって……」 この間と同じように俺のシャツを羽織ったココナツが。 ベッドの上で申し訳無さそうに髪先を指で弄ぶ。 嘉祥: 「ショコラとバニラが先に寝てるんだから」 嘉祥: 「ココナツが良いも悪いもないだろ?」 ココナツ: 「う、うん……それはそうなんだけど……」 あの後で2階に上がったらバニラがDVDを見ながら爆睡。 そのバニラをベッドに連れて行ったら、ショコラもそのまま爆睡。 あのベッドに3匹は無理がありそうだったので。 ココナツを自分の部屋に連れて来て今に至る。 ココナツ: 「……でも、その……ね?」 ココナツ: 「あんなにたくさんえっちして愛してもらった上に……」 ココナツ: 「こんな風にお兄ちゃんのこと、独り占めしちゃって良いのかなって……」 ココナツ: 「……ショコラとバニラの方が、先にお兄ちゃんの恋ネコだったのに」 もじもじと髪先をいじりながら小さく呟く。 ネコは嫉妬はしないって時雨も言ってたし。 実際にさっきのショコラもノリノリだったけど……。 でもこういう感覚はあるんだな。 ココナツなりに気を遣ってるだけかもだけど。 嘉祥: 「バカ。大事なことに先も後もあるわけないだろ」 嘉祥: 「ショコラもバニラももう寝てるんだからさ」 嘉祥: 「そんな気を遣わずにいればいいって」 嘉祥: 「それとも、ココナツは俺の隣は嫌か?」 ココナツ: 「そ、そんなことあるわけないけど……!」 ココナツ: 「……でも、ぼくの方がお姉ちゃんなのに」 ココナツ: 「お兄ちゃんのこと、横取りしちゃったみたいで――」 嘉祥: 「ココナツ?」 ココナツの肩を抱き寄せて言葉を遮る。 そのままココナツの頭を撫でながら。 耳元で言い聞かせるように囁く。 嘉祥: 「だから、好きに前後も優劣もないって」 嘉祥: 「俺にとっては、ショコラもバニラもココナツも……」 嘉祥: 「みんな、大事な恋ネコなんだから」 ココナツ: 「お兄ちゃん……」 ココナツ: 「……ありがと。そう言ってくれて、ほんとに嬉しい……」 ココナツ: 「ぼく、すっごく幸せなネコだ……世界一、幸せなネコだよ……」 俺に頬をすりよせながら。 幸せを噛みしめるように呟く。 そのまま体を俺に預けて。 そっと俺の口唇に自分の口唇を当てる。 ココナツ: 「……ぼくも、お兄ちゃんの恋ネコだって思っててもいいの?」 ココナツ: 「ぼくのご主人さまは時雨ちゃんだけど……」 ココナツ: 「それでも、お兄ちゃんのこともご主人さまって思っても……いいのかなぁ?」 不安そうなココナツの頬に手を当てて。 今度は俺からココナツにキスを返して頭を撫でる。 嘉祥: 「……当たり前だろ?」 嘉祥: 「そうじゃなかったら、ココナツを抱いたりなんてしない」 嘉祥: 「そんなこと、いちいち聞かないでいいから」 ココナツ: 「……うん、ありがと」 ココナツ: 「やっぱり、お兄ちゃんはカッコいいなぁ……えへへ……」 ココナツが嬉しそうに顔をすり寄せてくる。 俺もココナツの頭を抱いてゆっくりと撫でる。 ココナツ: 「……じゃあ、今日はこのまま」 ココナツ: 「……ぎゅってしながら、一緒に寝てくれる?」 ココナツ: 「お兄ちゃんにぎゅってしてもらってると……」 ココナツ: 「ぼくみたいに背の高いネコでも、女の子だって思えるから嬉しいんだ……」 嘉祥: 「ああ、もちろん」 そう返事をしながらココナツの体を抱き寄せる。 ココナツ: 「……あと、寝るまでナデナデしててくれる?」 ココナツ: 「あとその、ちゅーもして欲しい……」 嘉祥: 「はいはい、何でもお任せ下さいませ」 ココナツ: 「えへへ、ありがとお兄ちゃん……大好き、ちゅ……♪」 月明かりに薄く照らされた部屋の中。 ベッドの中でココナツの体温を感じながら。 お互いの意識が落ちて溶けるまで。 ふたりで甘い余韻に浸り続けていた。