時雨: 「ほーっほっほっほ！！」
時雨: 「ほぉーっほっほっほっほっほーーっっっ！！！」
時雨: 「今日も今日とて驚愕の良い日にございますわぁ～～～～♪」
時雨: 「グッジョブ！　グッジョブですよアズキ！！」
時雨: 「まさかココナツにつづいてアズキともこうなるとは予想外でしたが」
時雨: 「兄様も私のネコたちにすっかりメロメロではないですか～♪」
時雨: 「良きかな良きかな！　おぉーっほっほっほっほっほーーっっ！！」
アズキ: 「お、おう……まぁ、その……まぁ……」
アズキ: 「……長い[ねこせい,2]ネコ生、何があるかわかんねーってことでひとつ……」
……つい昨日もこんな絵面見たなぁ。
昨日以上に高笑う妹を見てそんなことを思う。
時雨: 「兄様はお堅い方だと思ってはいましたが、情が移ると脆いのですね～？」
時雨: 「そんな情の深さもギャップも妹心にぎゅんぎゅん来てしまいますわぁ～♪」
嘉祥: 「まぁ……その、何か、すまん……」
時雨: 「何をおっしゃいます！　どこに謝ることなどございますか！」
時雨: 「アズキもココナツも兄様に岡惚れしているからこそ……」
時雨: 「とは言え、確かに人ならば許されぬ道理も倫理も法もありますでしょう……」
時雨: 「しかしショコラもバニラもアズキもココナツもネコ！　ネコなのです！」
時雨: 「兄様は私のネコたちが求めるまま寵愛を下さっただけなのです！」
時雨: 「これを合法ハーレムと言わずして何と言いましょう！」
時雨: 「あぁ素敵！　素敵な家族愛にございます兄様！」
嘉祥: 「いや、その……別に、そういうものを目指したわけではなくてですね……？」
時雨: 「さぁもっと声を大にして叫びましょう！」
時雨: 「ここが！　こここそが兄様と私のネコパラダイスであると！」
時雨: 「Hey、BROTHER！！　Let's say NEKO-PARADISE！！！　FOOOOOO！！！！！！！！」
嘉祥: 「いやだから、な？　話を聞いてくれ時雨？」
嘉祥: 「あとご近所様に迷惑だから、もうちょっとボリューム落としてくれ、な？」
アズキ: 「今のキマっちまってる時雨に何言っても無駄だぞ嘉祥……」
アズキ: 「こうなっちまった以上は、もう腹くくるしかねぇし……」
嘉祥: 「まぁ、そうだよな……」
手のつけられない時雨の背中をアズキと一緒に見守る。
……まさか２日連続でこんなことになろうとは。
人生何がどうなるか分からないもんだなぁ……。
遠くを見つめながら時雨の笑い声に耳を塞ぐ。
ココナツ: 「うんうんっ……！　分かる、そのキモチよく分かるよお姉ちゃんっ……！」
ココナツ: 「今、お姉ちゃんのキモチが一番分かるのはぼくだもんっ……！」
アズキ: 「まぁ、せやな……」
アズキ: 「ンなこと言われても、何て返事すりゃいいかわかんねーけど……」
ココナツ: 「大丈夫、姉妹だもん！　何も言わなくていいよお姉ちゃん！」
アズキ: 「……まぁ、だったらそれで」
複雑な顔をしつつココナツと握手。
多分、俺も同じくらい複雑な顔してるけど。
シナモン: 「アズちゃんもナッちゃんも嘉祥さんの恋ネコになっちゃうなんて～♪」
シナモン: 「ちょっと羨ましいですね、メーちゃん？」
メイプル: 「はぁ？　何でそこであたしに振るわけ？」
メイプル: 「別にあたしは羨ましくなんてないわよ、そういうのキョーミないし」
シナモン: 「またまたそんなこと言っちゃって～♪」
シナモン: 「メーちゃんだって、お年頃のネコなんだから……ねぇ？」
シナモン: 「その、おっ……お年頃の、ネコにゃんだからぁ～……♪」
シナモン: 「そ、そんなぁ、メーちゃんが……！　普段クールぶってるメーちゃんがぁ……♪」
シナモン: 「だめぇ、メーちゃんがそんなえっちにゃことにゃんてぇ……♪」
シナモン: 「シナモン、潤っちゃううぅうぅぅうぅぅ～～～～っっっ……！！！」
メイプル: 「……あんたのそういうトコ、ちょっとヒくわ。本気で」
ショコラ: 「ふぁあぁぁ～ごしゅじんさまおはようございます～……」
バニラ: 「なに、このせいだいなおまつり……」
バニラ: 「もしかして、また私たち、のりおくれた系……？」
時雨: 「この祭りに乗り遅れるとは何事ですか！」
時雨: 「先輩ネコとして、もっと兄様を虜にする房中術とか教えてあげなさいな！」
ショコラ: 「ぼーちゅーじゅつ……？　なにそれどーいうこと……？」
バニラ: 「私しってる……なんかえっちなやつ……Ｚｚｚ……」
ショコラ: 「にゃは～、時雨ちゃんはあさからえっちだにゃぁ～Ｚｚｚ……」
嘉祥: 「……相変わらずもう収拾つきそうにないな」
２日続けて収拾の付かないリビングを眺める。
いつも通りと言えばいつも通りだけど……。
……２日続けて、だもんなぁ。
まさか自分でもこんなことになろうとは……。
話題の原因が自分にあるだけに何も言えず心の中で苦笑い。
嘉祥: 「……とりあえず、開店準備しなくちゃな」
嘉祥: 「お前らも何かその、適当に頼むぞー？」
目の前から逃避して先に下へと降りる。
ココナツ: 「お姉ちゃん、やっぱり同じヒトを好きになるって姉妹だよね？」
ココナツ: 「なんか嬉しいよね、そんなところも一緒なんてさ？　えへへ♪」
アズキ: 「いやまぁ、そういうもんじゃねーと思うけどよ……」
アズキ: 「……まぁそういうもんでもいいや、この際……」
時雨: 「で、ココナツ？　アズキ？」
時雨: 「兄様の寵愛はどのような感じだったのですか？　んん？」
時雨: 「そこのところは是非詳しく聞かせて頂かないと～♪」
ココナツ: 「そ、そんなの、恥ずかしくて言えないよ時雨ちゃん……！」
アズキ: 「そ、そんなのヒトに話すもんじゃねーし……！」
アズキ: 「てか、アタシももう何も言えねーからほっといてくれ……！」
アズキ: 「あーもう、ちくしょー……惚れたもん負けって、こういうことかー……！！」
時雨: 「ココナツもアズキも良きかな良きかな♪」
時雨: 「その女の顔も堪らないものですよ？　ほーっほっほっほっほー♪」
ショコラ: 「えへへ、みんなで仲良しは嬉しいですにゃー♪」
ショコラ: 「でもご主人さまの正妻ネコはショコラですよね？　ね？」
バニラ: 「私はショコラと同率１位で我慢してあげる」
バニラ: 「ご主人はほんとエロパティシエだからしゃーない。ほんとしゃーない」
嘉祥: 「いやまぁ、その……」
嘉祥: 「……はい、みんな大事にしますんで……」
ショコラ: 「にゃはは～♪　困ってるご主人さま可愛いにゃあ♪」
バニラ: 「私たちはネコなんだから、そんな浮気がバレたみたいにキョドらなくていいのに」
シナモン: 「ね、ねぇメーちゃん？」
シナモン: 「その、ひょっとすると、ひょっとするとなんだけどね……？」
シナモン: 「このまま、順番的に言うと……」
シナモン: 「やっぱり次はわたしとメーちゃん……に、なっちゃうのかなぁ～？」
メイプル: 「はぁ？　何よその順番って……」
メイプル: 「あたしをそんな安っぽいネコみたいに言わないでくれる？」
シナモン: 「いやでも、でもだよ～？　むしろみんな一緒も良いなって思わない～？」
メイプル: 「バカ言ってんじゃないわよ、思うわけないでしょーが」
メイプル: 「あたしから惚れて、都合の良いネコになるなんてまっぴらゴメンだし」
時雨: 「私もネットで得た知識ですが、色々と教えてあげないとですね♪」
アズキ: 「そんなんいらねーから、もうほっといてくれよマジで……」
ココナツ: 「でもぼく、ちょっとだけ興味あるかも……えへへ……♪」
シナモン: 「でも、でもだよメーちゃん～？」
メイプル: 「だからしつこいっつーの！　もー！」
ショコラ: 「ご主人さまー！　ショコラのこともごろごろなでなでしてくれなきゃヤですよー！」
バニラ: 「私も忘れてもらっちゃ困る。ネコは割と寂しがり屋だったりもする」
嘉祥: 「はいはい、よしよしよしよしー」
ショコラ＆バニラ: 『「にゃー♪」\n「にゃー♪」』
開店前からテンションが最高潮。
今まででも十分に賑やかだと思ってたけど。
それ以上にもっと活気のある声が店内に響く。
嘉祥: 「……ま、これはこれでいいか」
可愛いネコたちに囲まれてそんな言葉がこぼれる。
時雨: 「さぁさ、より水無月の絆も深まったところで――」
時雨: 「本日もソレイユ、開店しますよー♪」
全員: 『「へーい」「はーい！」「は～い♪」\n「はーい」「は～い！」「はーい」』
今日も我らがソレイユ～通称『ネコパラダイス』～が開店した。